アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

「趣味悪いよ、亮太」
と言うと、

「……ホテルはホテルでも違うとこ行くか」

 少し考え、そう言ってくる。

「え?」

「確か、ケーキバイキングやってるところがあるぞ」

「あ、行く行く」

「ついでに、カップルだとか言って、式場とか見せてもらうか」

「亮太、それって……」

 遥人たちが式をやるホテルではないのか。

 身内だけでやる式らしいが。

 とは言っても、結構人数は来ると思うが。

 ともかく、細かい話は訊かなかった。

 訊きたくもなかったし。

 何処でやるのかも知らなかったのだが、どうやら、梨花の父の知り合いがやっているホテルらしいということは、たまに遥人が電話で話しているときなどに漏れ聞こえて来ていた。

「行きたくない」
と那智は膝の上の鞄を強く握る。

「あ、そう。
 じゃあ、いいけど。

 後悔すんなよ」
と言ってくる。