アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜




「お待たせー」
と車に乗ると、

「めちゃめちゃラフだな」
と上から下まで那智を見て言ってくる。

「そうお?
 確かに部屋に居たときのままだけど。

 別にその辺出かけてもおかしくない格好だよ」
と言うと、ああそうか、と亮太は言った。

「いつも会社か会社帰りにしか会わないから、スーツだもんな。
 初めて見たよ、普段着」

「そういえば、そうだね。
 亮太も普段着だ」
と笑った。

「どっか行きたいとこあるか?」
と寄せていた車を道に戻しながら亮太は言う。

「んー、特にないよ。
 亮太の行きたいところでいい。

 今日は亮太を慰める会だから」
と言うと、

「だから、てめーをだろ……」
と言いかけた亮太は、

「じゃあ、俺の行きたいところに絶対行けよ」
と、にやりと笑って言ってきた。

「……やめとく」
と言うと、
「勘がいいな」
と笑う。

「梨花と初めて行ったホテルに連れていこうかと思ったのに」