アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜




 遥人の寝室は、意外に雰囲気のある部屋だった。

 ベッドサイドには、スタンドランプから置かれていて、それが温かみのあるオレンジの光を放っている。

 なにもかもがシンプルだが、落ち着く感じだ。

 この部屋で寝られないとはな、と思う。

 遥人のベッドで那智は緊張しながらも、彼に膝枕し、言った。

「えー。
 むかしむかし、あるところに……」

「殴るぞ」

 真面目にやれ、と言われる。

「そうですね。
 では、何故、私がベルマーク委員長になったのか、というお話を」

「死ぬ程、くだらなさそうだな」
「だって、くだらない話をしろと言ったじゃないですかっ」

「つまらない話をしろと言ったんだっ」
「何処が違うんですかっ」

 怒鳴り合っていると、テンションが上がって、寝られなくならないだろうか、と思っていたのだが。

 目を閉じて話を聞いていた遥人は、時折含み笑いをしながら、寝てしまったようだった。

「……専務?」

 そっと呼びかけようとしてやめた。

 せっかく寝たのに、起こしてしまったら悪いと思ったからだ。

 そうっと少し横を向いているその顔を覗き込む。

「うわ……」

 綺麗な顔だな。
 この顔は反則だ。

 好みじゃなくても、少しときめいてしまう。