「まあ、そうだが」
「なんでそれ、言わなかったんですか?」
と言うと、
「遥人とか言われると、恋人同士みたいだろ」
と言ってきた。
「あっ。
微妙に傷つきましたっ。
私とは恋人同士だと思われたくないというわけですねっ」
「お前、本当に思ったまま、すぐ口に出すな」
少しは胸に留めて悩んだりしないのか、と言われる。
「会うときはいつも二人だろ。
誰が、『思う』んだ?
二人きりのときに、恋人だとか思ったら、俺的にまずいだろうが」
「そんなの専務の気持ちひとつでどうにでもなる問題じゃないですかっ。
なんなんですか。
梨花さんにばっかり、名前で呼ばせてっ。
あー、なんかムカついて来たっ。
もうっ、呼んじゃいますよっ。
遥人さん、遥人さん、遥人さんっ」
「やめろっ。
子供かっ」
と力が入りすぎたせいで、両の手に作った拳をはたかれる。
「いいから、風呂にでも入って来いっ」
と叩き出された。
……なんだろう。
恐らく、自分のせいなんだが。
最初で最後の旅行なのに、ちっともロマンティックな展開にならないぞ。
那智は首を傾げながら、大浴場に向かった。
「なんでそれ、言わなかったんですか?」
と言うと、
「遥人とか言われると、恋人同士みたいだろ」
と言ってきた。
「あっ。
微妙に傷つきましたっ。
私とは恋人同士だと思われたくないというわけですねっ」
「お前、本当に思ったまま、すぐ口に出すな」
少しは胸に留めて悩んだりしないのか、と言われる。
「会うときはいつも二人だろ。
誰が、『思う』んだ?
二人きりのときに、恋人だとか思ったら、俺的にまずいだろうが」
「そんなの専務の気持ちひとつでどうにでもなる問題じゃないですかっ。
なんなんですか。
梨花さんにばっかり、名前で呼ばせてっ。
あー、なんかムカついて来たっ。
もうっ、呼んじゃいますよっ。
遥人さん、遥人さん、遥人さんっ」
「やめろっ。
子供かっ」
と力が入りすぎたせいで、両の手に作った拳をはたかれる。
「いいから、風呂にでも入って来いっ」
と叩き出された。
……なんだろう。
恐らく、自分のせいなんだが。
最初で最後の旅行なのに、ちっともロマンティックな展開にならないぞ。
那智は首を傾げながら、大浴場に向かった。



