アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜




 イルミネーションは綺麗だった。

 特に青っぽい電飾は綺麗だな、と思う。

 でも、それを見たかったのは、イルミネーションを楽しみにしていたからだけではない。

「このまま帰りたくないです」

 思ったままをついに口にしてしまった。

 イルミネーションを見て歩いているうちに、出口に近づいてきたからだ。

 困ったような遥人に、
「大丈夫です。
 言うだけです」
と近くの柵をつかんだまま言う。

 目の前では、可愛らしいアリスの形の電飾がトランプの前で瞬いていた。

「お腹にためてると、ストレスになるので。
 なんでもとりあえず、言うことにしてるんです」

「……口に出したら、周りのストレスになるだろうが」

「すみません」

 遥人は空気が冷たいせいか、山だからか、下のイルミネーションが明るいわりには、綺麗に見える星空を見上げて言った。

「今日は、この辺りに泊まろうか。
 明日、仕事に間に合うように早く出よう」

「……そうですね」

 でも、いいんですか? と思ったが、言葉には出さなかった。