アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜





 かなり園内を回った夕方近く、遥人が、
「ずいぶん寒くなってきたが、イルミネーション見るか?」
と訊いてきた。

「寒いですが、見ます」
と主張すると、わかった、と言ってくれる。

 年末の野外でのカウントダウンに行った人たちが、これは、なんの罰ゲームだ、と思った、とよく言うが、今もちょっとそんな感じの寒さだった。

 街中に戻れば、きっとそれほどでもないのだろうが。

「あれ着てくればよかったです。
 あの駅伝とかの人が待ってる間に着てる。

 下からこう、チャーッとチャックが上げられる」
と言うと、わかったわかった、と言われる。

「名前言わなくても、なんだかわかったぞ」

「色気もくそもない格好ですが、今はしたいです。
 あの目の前の、カップルのミニスカートで生足の人がお腹が痛んじゃないかと思って気になってしょうがないです」
と言うと、

「お前は本当に色気がないな」
と呟かれる。

 そんなことは言われなくてもわかっている。

 もし、自分がこういうタイプじゃなかったら、如何に遥人が手を出すまいと思っていても、毎晩一緒だと、さすがにこうは貫けなかったんじゃないかと思う。

 ……我ながら、ちょっとむなしいが。