アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

 生き返って欲しいと願っているのに、何故、あんなに恐ろしいのか。

 母が自分に復讐してくれと言っているような気がして。

 いや、違うか。

 ……復讐しないでくれと言っている気がして。

 今はそう思う。

 それを自分が認めたくなかっただけだ。

 でも、那智と居るようになってから、母はそんなこと望んでないと、はっきりわかるようになった。

 それでも止まれないよ、那智。

 そう心の中で彼女に呼びかける。

 もうこの先に俺たちの未来はない。

 那智が片手で肩に布団をかけ直してくれるのを感じた。

 まるで母のように。

 だが、自分にとって、那智は母ではない。

 抱きしめたい衝動に駆られたが、そのまま寝たふりをし、やがて、那智の寝息が聞こえ始めると同時に自分もまた、寝てしまった。