アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

「まあ、それはそれとして。
 このまま、やられっぱなしというのも、確かにムカつくな。

 お前、俺と浮気するか?」

「は?」

「向こうだけ浮気して、素知らぬ顔してるというのは腹立つじゃないか。
 お前、俺と浮気しろ」

 結構ですっ、と那智は飛んで逃げた。

「専務なら、誰でもオッケーしますよ。
 浮気なら、他所でお願いしますっ」

「お前がいいんだ」
と言う遥人の言葉に、思わず、どきりとしてしまったが、

「だって、口が固いんだろ?」
と言ってくる。

 そこかっ。

「いや、そんな理由なら、帰らせてください」
「じゃあ、どんな理由なら、俺と付き合ってくれるんだ」

「どんなもこんなもないですよ」
と言ったが、ちょっと考え、

「じゃあ、
『俺にはお前だけだ。結婚してくれ』
とか言ってみてください」
と笑って言うと、

「いや、結婚はできない」
と言ってくるので、

「わかってますよ、もう~っ。
 言ってみてくださいって言っただけじゃないですかっ」
と言うと、遥人は少し考えていたが、いきなり那智の手をつかみ、自分の側に座らせた。