アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

 


 昼休み、那智がトイレから戻ると、桃子たちがロビーの椅子のところで、亮太と話していた。

「ちょうどいいところに、那智。
 今夜、呑みに行かない?」

「え? 今夜?」
と眉をひそめると、

「なんだ、那智。
 来れないのか?」
と亮太が、わしの酒が呑めんのか的な威圧感を出して言ってくる。

「いや、今日はちょっと……」

「いいじゃないか、ちょっとくらい付き合えよ」

 亮太はそう強く押してくる。

「そうだよ、那智。
 久しぶりにみんなが集まるんだから」

 同期で急に呑もうという話になったらしい。

 どうも言い出しっぺは、亮太のようだった。

 このやろ、と思い、横目に見ると、にんまり笑う。

 こいつ、今日も専務と会うのわかってて言ってるな、と思ったとき、携帯が鳴った。

 遥人からだった。

 珍しいな。
 社内でこんな時間にかけてくるの、と思いながら、何処で呑むか盛り上がっているみんなから、すうっと離れ、それに出る。

『今日はうちに来い』
と遥人は言ってきた。