『なにやってるんですかっ。
私、初めてだったのにっ』
泣きわめく那智の顔を思い出し、笑ってしまう。
亮太にキスされたと言ったことは、ショックだったし、腹も立ったが、那智が自分の方にキスして欲しかったらしいことは心の底から嬉しかった。
初めて那智と夜を共にした日。
あどけない顔で寝こけている那智は、色気というものからは程遠かったけれど。
その表情を見ているだけで、笑みがこぼれた。
俺の間抜けなシェヘラザード。
なにも語らなくても、お前が側に居るだけで、俺は安心して眠れるよ。
その姿を思い出すように微笑んだとき、ドアをノックする音が聞こえた。
「はい」
と言うと、公子が現れる。
まったく普段と変わりない表情で、書類を渡し、業務連絡をしたあとで、言ってくる。
「梨花さんとは別れないんですか」
「……今のところ、その予定はない」
と言うと、
「ほんとに男の人ってのは」
と溜息まじりに愚痴のように言ってきた。
公子はそんなに年上ではないのだが、子供が居るせいか、時折、こうして、自分までも子供を叱るような顔でたしなめてくる。
その感じが嫌ではなかったのだが、この問題に関しては、ちょっと困るな、と思っていた。
私、初めてだったのにっ』
泣きわめく那智の顔を思い出し、笑ってしまう。
亮太にキスされたと言ったことは、ショックだったし、腹も立ったが、那智が自分の方にキスして欲しかったらしいことは心の底から嬉しかった。
初めて那智と夜を共にした日。
あどけない顔で寝こけている那智は、色気というものからは程遠かったけれど。
その表情を見ているだけで、笑みがこぼれた。
俺の間抜けなシェヘラザード。
なにも語らなくても、お前が側に居るだけで、俺は安心して眠れるよ。
その姿を思い出すように微笑んだとき、ドアをノックする音が聞こえた。
「はい」
と言うと、公子が現れる。
まったく普段と変わりない表情で、書類を渡し、業務連絡をしたあとで、言ってくる。
「梨花さんとは別れないんですか」
「……今のところ、その予定はない」
と言うと、
「ほんとに男の人ってのは」
と溜息まじりに愚痴のように言ってきた。
公子はそんなに年上ではないのだが、子供が居るせいか、時折、こうして、自分までも子供を叱るような顔でたしなめてくる。
その感じが嫌ではなかったのだが、この問題に関しては、ちょっと困るな、と思っていた。



