アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

「ところで、亮太って、もしかして、坂上くん?
 坂上くんと専務が貴女を取り合ってるの?」

「いや、そんないいもんじゃ……」

 専務には専務の、亮太には亮太の考えがなにかあって動いているだけだ。

 だが、公子は何故か自分のことのように盛り上がっている。

「いいじゃない。
 いいわよ、坂上くん。

 爽やかで」

 いや、実情は、全然、爽やかじゃないですよ。

 三次会くらいまで行くと、完全に本性が見れますよ、と思った。

 公子は家庭があるので、一次会で帰ってしまうから、まだ酔っていない亮太しか見ていない。

「ああっ、迷うわねっ。
 専務と坂上くん。

 邪魔な梨花がうろちょろすることを考えると、坂上くんだけど。

 やっぱり、クールな専務が格好いいわよね。

 梨花から貴女が専務を取ってやったら、スカッとするし」

 あのー、公子さん?
 もしもし?

「なにか会社に来るのに、張り合いが出そうだわ」

 ……めちゃめちゃ楽しそうだ。

 せっかく楽しみを見出したらしいのに、邪魔するのもな、と思い、那智は、はあ、とだけ答えた。