アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜




 朝だなあ、と那智は思った。

 カーテンの隙間から、まだ静かな街を眺める。

 そのうち、眠っている遥人が目を覚まし、視線だけで、辺りを見回した。

 そして、頭の上を見て、うわっ、と声を上げる。

 枕許に座る那智に気づいたようだ。

「ざ、座敷童かと思った……」

 そんな失礼なことを言いながら、起き上がってくる。

 何故、子供、と思いながらも、慌てた遥人の顔を思い出しながら、笑ってしまう。

 会社では絶対、見られない顔だからだ。

「ずっとそこに居たのか?」

「いいえ。
 さっき、目が覚めて来てみました。

 で、よく寝てるなあ、と思って眺めてました」

「入るか?」
と遥人が布団を持ち上げ、訊いてくる。

 朝はちょっぴり、ひんやりとする。

 迷ったあとで、入ってみた。

 あったかいな。
 なんで人の体温でぬくもったものって、こんなに身体に染みるくらい暖かいんだろう。

 優しい暖かさだ。

 思わず、目を閉じそうになると、
「寝るな」
と額をはたかれる。