アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

「カピバラなのか、シェヘラザードなのかはっきりしてくださいよ」

 そう笑いながら、ビルの隙間の夜空を見上げた。

 ケモノと美女では随分違うだろう、と思いながら、
「今度、専務も一緒に行きましょうよ。
 美味しいですよ、あの店」
と言うと、

『一緒にって、お前とか?
 まさか、桜田もか?』
と訊いてくる。

 桜田と三人でか、それもいいかもしれないな、とちょっと思いながら、少しだけ笑ってみせた。

「今日はうちに来られますか?」

 そう自然に訊いていた。

 この先、どうなるかはわからない。

 でも、今は、遥人の寝顔を見ながら、眠りたい。

 そう思っていた。