桜田と別れたあと、街を歩いていると、
「ちょっと」
と何処かで聞いたような声に呼び止められた。
振り向くと、案の定、梨花が立っていた。
腕を組み、仁王立ちになっている彼女の周りに、あの友人たちは居なかった。
「貴女、本当に桜田さんの妹?」
そう訊いてくる。
さすがにそこまで莫迦ではなかったようだ、と思いながら、
「……違います」
と言っていた。
桜田の、あっ、こらっ、という顔が浮かんだが、とりあえず、打ち消した。
梨花がもし、桜田に本気ななら、こんな嘘はよくないと思ったのだ。
だが、その場合、遥人はどうなるのだ、とは思うが。
「そう。
やっぱりね。
なんとなく似ているから、ほんとに妹かな、と思ったんだけど。
あのあと、話している二人の様子を見て、違うなと思ったの。
うちにも兄が居るけど、私に対して、あんな態度を取ることはないから」
「私、昔、桜田さんが好きだったんです」
訊かれもしないのに、そんな告白をする。
梨花が目を見開いた。



