アラビアンナイトの王子様 〜冷酷上司の千夜一夜物語〜

「ちょ、ちょっと待ってくださいよ〜っ」
と那智は、手で、待て、と合図を出す。

「いっぱい否定したいことがあるんですが。

 まず、私、専務を好きなわけじゃないですし。

 そもそも、なんで、貴方と似てたら、私が専務を好きにならなきゃいけないんですかっ」

「だって、お前、俺のこと、好きだろう」

「なんなんですか、その自信……」

 いっそ、呆れる、と思いながら、桜田を見た。

「あれだけ長い間、私を放っておいて、よくそんなことが言えますね」

「仕事だ。
 仕方ないだろうが」

「男の人って、仕事って言えば、なんでもケリがつくと思ってますよね」

 まあ、うちの場合は、母親もそうだが。

「辰巳遥人なんて、その典型だろう。

 仕事だ、仕事だって言って、梨花をほったらかしにしてる」

「だからって、貴方がそのフォローをしなくてもいいんですよ」
と言うと、

「いや、だから、遥人と俺は似てるって話だ。
 っていうか、あれか? お前。

 俺が梨花とばかり居るから妬いてるのか?」
と嬉しそうに笑い、

「ほんとに可愛いな、那智は」
と頭を撫でてくる。