想いを残した距離に

「憧れはしないかも…やっぱり人の目を気にしちゃうかなって」


「そうか…」


幸くんは…したいのかな?
キ、スとか?


「俺は…本当に好きな人なら…人目を気にしなくてもいいんじゃないかなって…思ってさ」


「そっか…!幸くんが好きな人はきっと幸せになれると思うよ…」


「馬鹿言うなよ…俺そんなにいいやつじゃないし」


「嘘だぁ…」


みんなを幸せにする。
私も幸せにしてくれるそんな力を持っているんだから…いい人に決まってるじゃない。


「そんなこと言う渚もなんか可愛いな」


ずるいよ…そんなこと言って…
しかも、手を繋いだままなんて…。


「か、可愛いなんて…。あの、えっと…」


「あ、手か。ごめんごめん。忘れてた」


すると、私の手から幸くんの手が離れていった。少し残念だけど仕方がない。


「帰ろっか…」


「うん…そうだね。あ、こんな時間まで付き合わせちゃったんだから送ってくよ?」


気がつけばもう6時を過ぎている。


「なんだよ。それは男が言う言葉だぞ?」


「で、でも…こんな時間になったのはもともと私がお昼誘ったのが原因だから…」


「はぁ?もともと俺がメール送ったからじゃね?」


「で、でも…」


「俺が送ってくっていったら素直に聞けよなー」


幸くんは私に背を向けてゆっくりと歩き始めた。