想いを残した距離に

「よし。帰るか」


も、もう?少し残念…。


「ほら、手貸せよ。ちゃんと連れて帰るから」


いつの間にか離れてしまっていた手。幸くんはまた私に手を差し伸べてくれる。
私は何も言わずゆっくりと手を繋いだ。


温かい…不思議な感じ…。


「ありがと…ね」


「何が?手のことか?」


「それもあるけどね…毎日がこんなに楽しいのは…幸くんに会えたから…だから、
ありがとうって…」


「なんだよ…俺のほうが感謝してるんだぜ?転校生の俺を渚や佐久間、獅子村に月影、上戸はいつも一緒に笑っていてくれた。転校してきてよかったって思ったよ」


「よかった…そんなこと言ってもらえると嬉しい…」


「そ、そうか?俺の方こそ、ありがとな」


私達はそんな感謝の言葉ばかり言っていると森から町中へと出た。


「まだ帰りたくないな」


幸くんは私の手を握ったままそう言った。


「だね…。でももう真っ暗」


さっき夕日が綺麗だった町は真っ暗な町へと変わっていた。駅の方ではたくさんのサラリーマンが笑いあいながら帰っていく姿が。公園ではカップルがいっぱい。


「渚もああゆうの憧れる?」


幸くんは公園で人の目を気にせずにキスをしているカップルを指して言った。