想いを残した距離に

「あ…」


私が手にとったのは一昨日私が作った苺タルト。


「まだ大丈夫そう…」


私は切られたタルトをフォークとナイフを使って慎重にお皿に乗せた。


「幸くん…食べられるかな?」


私はそんなことを思いながらリビングへとタルトを運んでいった。


「良かったらケーキ食べない?」


「いいのか?」


「もちろん。食べてくれたら嬉しいな」


私は形が綺麗な方のタルトを幸くんの座っている方に置いた。


「手作りか?」


「ま、あ…。どうかな?美味しいかな?」


幸くんはフォークで一口サイズのタルトを口に運んだ。


「うま…!」


「本当!?ありがとう」


嬉しい…そんなこと言ってもらえるなんて
思っても見なかったよ…。


「今日来てよかった」


「びっくりしたんだよ。メアド教えてないのにメールが来るから…」


「獅子村に聞いたんだよ。だって渚、獅子村と上戸以外教えてねーんだもん」


「ごめんね…」

 
「いいって。俺、渚に会いたかったから」


そんなこと言って…本当に…意地悪なんだから…。


「わ、私も…幸くんに会いたかったんだよ?」


私がそう言うと幸くんの顔が少し赤くなった。


「馬鹿言うなよ…。俺のほうが会いたかったんだ」


「違うよ…!私のほうが…」


会いたかったなんて言おうとした私は少し馬鹿だった。なんでって…
付き合ってもないのにそんなこというなんていくらなんでも恥ずかしすぎるから。