想いを残した距離に

“離婚して今外国にいる”
なんて言えるわけない…これは結や大河にすら言ってないことだから…


「…?」


「共働きしてるの」


「あ、ああ。そうなんだ。大変だな」


嘘ついちゃったな…。
まあ、言っても意味ないもんね…。


私は麺を上げて汁をかけて、卵や野菜をお皿に盛りつけた。


「美味しそーだな」


「ありがとう。飲み物用意するからこれ持って行ってもらえる?」


「わかった」


私は幸くんに背を向けて冷蔵庫に手を伸ばした。


幸くんは何が好きかな?そういえば私って意外と幸くんと話すのに、好きなものとか知らないんだよね…。


「幸…くん。紅茶でもいいかな?」


まだスラスラと言えない名前。
やっぱり無理なのかもしれない…。


「渚が入れてくれるものならなんでもいい」


「う、うん…」


私は透明なグラスに香りが引き立つレモンティーを注ぎ、幸くんがいるリビングへと向かっていった。


「お待たせ…た、食べよっか…」


「ああ。いただきます」


幸くんは丁寧に手を合わせてお辞儀をした。そして赤い箸で麺を取り、サッと食べ始めた。


「美味しい」