想いを残した距離に

「花火まで時間あるから適当に回ろーよ」


屋台が並ぶ中心辺りに来ると一番前の結が大きな声でそう言った。


「さんせー。東道、月影!射的やろーぜ」


大河は東道くんと月影くんに近づいてふたりの肩に手を乗せた。


「お、いいな。勝ってやる」


「望むところです。僕が勝つに決まってますが…」


私はそんな様子を見て少し微笑んだ。


「渚ー!うちらは金魚すくいでもやらない?」


「うん!」


私達はカッカッカッと下駄を鳴らしながら金魚すくいの屋台の前まで来た。


「お、お嬢ちゃんたちやるかい?」


すると、タオルを頭に巻いた優しそうなおじさんが話しかけてきた。


「はい!やりまーす!」


私達は一回分のお金を渡して金魚が浮かぶ水槽を眺めた。


私はおじさんからポイを貰うとゆっくりと水の中に入れた。


「ええ!?水の中なんて入れたら紙破れちゃうよ!」


結はポイを持ったまま口を開けて呆然としている。