想いを残した距離に

少し歩くと私はすぐに足を止め、
ある浴衣を手に持った。
私が手に持ったのは黒い生地に金の蝶が書かれている可愛い浴衣。


「嘘…」


お値段を見ると高いお値段。私は残念な顔を見せながら浴衣を返した。


「あ、この赤色の浴衣…すっごく可愛い…」


次に私が手にとったのは赤色の生地に大きな菊が描かれた可愛い浴衣だった。


「4800円…」


私はピンクの財布のフタを開けた。
そこに入っていたのは5000円札一枚だけ。


「これ買えば…200円のお釣り…」


安いし、可愛い。こんないい条件が揃ったものなんてそんなにないと思う。
それに…赤色だし…。


私は浴衣をしっかりと手に持ち、少し微笑みかけてレジへと持っていった。


「1点で4800円です」   


優しそうな店員は私にそう言った。
私は財布を開けて5000円をレジの人の
手の上に乗せた。


「5000円お預かりいたしましたので200円のお釣りでごさいます」


私は袋に入れられた浴衣とレシート、そして200円をレジの人から貰った。
私はお金とレシートをお財布に入れると
お辞儀をしてデパートを出た。


「か、買っちゃった…」