「先生!」


先生は手術着を握りしめて首を横に振った。


「そんな…」


「運ばれた時にはもう手遅れではありました…。私達の力足りずで…申し訳ありません。1月10日…午後8時50分…須藤 渚様。ご臨終です。お悔やみ申し上げます」


先生は俺達に頭を下げた。


「渚も頑張りました。頭を上げてください」


もうなにがなんなんだろうか…。


渚がもうここにはいないんだ。



「あ、あの!須藤様は!?」


先生と話し終わり、渚の病室でみんながただ呆然と足を見つめているとある看護師さんがやってきた。


「えっと…あなたは?」


「あ、えっと…私は須藤様の看護を入院当時からしております山本と申します」


「これはこれは…渚のことを…よくもここまで…」


渚のお母さんは感謝の言葉を告げようとしたけど泣き出してしまってそれからは何も言わなくなった。


「渚はさっき亡くなりました…」


「そう、でしたか…」



そういえばいつだか話していた時があったな。


『山本さんね、優しくてとってもいい人なの!』


渚の言う山本さんってこの人か…。