この手だけはもう二度と離したくない。
でももうだめ、



「では、誓いのリングを指に」



幸と向かい合わせになる私。
そして涙を流す。


「幸…愛してる…高校生がこんな言葉を使うのは早いかもしれないけど…これは本当だから…」



「俺だって愛してる」



私の薬指にもうひとつの指輪がつけられる。


「みんなのこと…大好きだから」


結婚式なのにこんな言葉が出てごめん。
でも今しか言えないことだから…。



「今までありがとう」



そして初めて私は知った。

結婚式をする前から体調が悪かったこと。
もう死ぬこと…。


いや、わかっていたのに現実から目を逸らしていたのかもしれない。



倒れるのは何回目だろ…もう何回目を閉じるんだろう。


でももう、これで…終わり。
みんなと会えた日々はこの世で一番大事になこと。



「渚?」


ガクッと膝から崩れ落ちる私。
意識が朦朧として大事な人の顔さえぼんやりしてくる。