想いを残した距離に

「渚ー!そろそろ出るよー!」


結の声が聞こえたと同時に出そうだった涙を引っ込めた。


「渚。いってらっしゃい」


「お母さん、海…私と一緒に行くてくれてありがとう。大好き!」


私はそう言うとベールを被り、病室の外で待つ大河の元に向かった。


「ほら、渚。乗って」


私は可愛くアレンジされた車いすに座った。


大河は車いすに乗った私を移動させる役割を持っている。


「大河、ありがとう」


「渚に言われることなんてねぇよ。どっちかって言ったら俺のほうが感謝してんだから…その、よかったな」


「ありがとう」


大河は私が一番私と一緒に居てくれた友人で幼なじみだ。


お父さんとお母さんが喧嘩した時はいつも大河の家に行って慰めてもらった。
泣き虫の私はよく大河に助けられてきた。

中学の時に友達関係でうまくいかなかった時も大河が助けてくれた。


そしてまた私は大河に助けられている。
本当にありがとう。


「大河…ありがとう。本当に…」


「ほら、もう会場だぞ。感謝ばっかりしてんなよ」


「うん」