想いを残した距離に

「今日は疲れたのでもう面会したくないんです。だから誰も通さないでくれますか?あと…ナースコール以外は看護師さんも控えてほしいです…わがままですが…」


どうしても今だけは誰にも会いたくないの。


自分の結婚式に対しての気持ちを整理したい。


心から結婚式を嬉しいと思うように自分を納得させたい。


「わかりました。では明日の朝の8時までは面会禁止にしますね。おやすみなさい」


看護師さんはそう言うと笑顔で部屋を出て行った。


私はゆっくりと立ち上がり、窓を開け、身を乗り出した。


別に死にたいなんて思わないけれども
もしもこの3階の病室から落ちてしまったら私は楽になれるのだろうか。


何かの本で見たことがある。
落ちている最中は意識を失う。
だからほんの一瞬の痛みで死ねると。


「涼しい…」


冬だということが肌に当たる風で感じる。


「ああ、また涙」


目から出る涙は冷たい風で凍っちゃいそうだ。


結婚式はすごく嬉しい。
でも、やっぱり駄目だよ。


幸をひとりにして苦しませてこの先の未来を消したくないの。


「好きだよ。好きだけどもうすぐ死ぬ私なんかのためにみんながそこまですることなんてないんだよ…」


私はその場でしゃがみこんだ。