私の砕けたパズルピースは幸の温かいキスでゆっくりとくっついた。今まで光を失っていた時間が戻り始めた。


「ゆ、き…」


キスが終わるなり私は幸の顔を見て泣いた。


「渚。もしかして…」


「うう…今までごめん。忘れてごめん。幸ぃ…幸」


忘れてたんだ。
私はみんなのことを。


幸は笑って私をぎゅっと抱きしめた。
馬鹿馬鹿。って何回も言われた。
でもそれが逆に嬉しかった。


「待ってた。ずっと渚を待ってた」


「忘れてごめん。絶対忘れたくない人たちを私は忘れた。ごめん」


「渚。おかえり」


その幸の言葉はもう謝るなって言う意味が込められていたと思う。だから私も謝るのをやめた。


「ただいま。私の大好きな幸」


そして私達はもう一度抱き合ってキスをした。


満月の光が光り輝く真っ黒な海をバックに私達はもう一度出会った。


そして病院に戻ると私はまたみんなと出会った。抱きしめられた。泣いた。
そして言った。


「おかえり。渚」


「ただいま。みんな」


みんなの暖かさがこうしてまた感じる。
そんな大切なみんなを少しでも忘れてしまった自分に腹が立つ。


でもそんなことはどうでもいい。
みんなか私をまだ覚えていてくれるから。