想いを残した距離に

思い出してくれんじゃねぇかなって期待はした。でも無理だな。渚は俺を思い出してはくれない。


「私、死んじゃうんですよね…あなたに申し訳ないです…。こんなことになっちゃって」


「…渚は記憶を取り戻す以外にしたいことってない?」


「…もしもできたら…私は結婚がしたい」


聞いた俺でも驚くような願い事だった。


「あなたにこんなに愛されている。だからきっと私もあなたを愛してた。だから記憶が戻ったらすぐにでも…結婚したい」


結婚は俺だってしたい。永遠の愛を誓いたい。でも俺はまだ…17歳だ。結局、結婚するにはまだ1年かかってしまう。


「海…綺麗ですね」


渚の病室からは青い海が見える。
今日は空も青いから海も綺麗だ。
そしてあの海は渚の誕生日に歩いた浜辺がある場所だ。


「行くか。今度さ外出許可取って」


「ほんとですか!?」


「ああ。約束だ。海に行こう」


渚…もう一度俺の名前を呼んで?
俺寂しいわ。耐えられねぇよ。病室を出ると獅子村達が笑っていた。


あーそういえばずっと聞いてたのか…。
結構恥ずいこと言ったよな。


「結婚しよう!」


「何言ってんの…」


獅子村はそう言うけど正直、俺はできない。