想いを残した距離に

『渚が目を覚ましたの』


やっと会える。そう思って喜んでいた。


『でもね、会わないほうがいいかもしれないの。幸くんだけじゃない。結ちゃんもみんなみんな…本当は私も会わないほうがいいのかもしれないけど…』


「え?どういうことですか?」


会わないほうがいい?なんでだ?ああそっか。まだ目を覚ましたばっかだからか…。
そう思っていた俺は馬鹿だ。
なんでその時に渚のお母さんが泣いているのに気が付かなかったんだろう…。


『覚悟があるなら…みんなで来て頂戴。病室の前で待ってるわ…』


電話が切れると俺は指輪をはめて家を出た。


途中で会ったみんなも少しだけ喜んでいるように見えた。


やっと渚に会える。名前を呼べる。
またまた話せる。


「あら、幸くん…みんな…来たのね」


そこには渚のお母さんしかいなかった。
渚のお母さんは何も食べてないのか顔色な悪い。


「ごめんなさい。渚はもう渚じゃないのよ…」


「渚じゃないって…どういうことですか?」


心の奥底で嫌なものを感じた。
もう二度と渚に会えないんじゃないかっていう嫌なもの。


「あとで話すわ。ここまで来てしまったんだもの。さぁ、入って…」