想いを残した距離に

「死んじゃうらしい…の」


らしいって人事みたいだね…。でも本当に人事だったらいいのにね。


「そ、そんなことないよね?」


「な、ぎさ…」


望は片手に持ってきた飲み物を手からするりと落とした。中身はコーヒーだったらしく白い地面に茶色の染みがついた。


「そんな…の嘘だよね!?」


私が首を横に振ると、結は周りが反応するくらい大きな声で私の肩を掴んだ。


少し痛い…力入ってる…。


「なんでそんなこと言ってくれなかったの!?」


「そ、それは…」


「おい。結。それくらいにしとけって…渚だって言えないに決まってんだろ」


「幸はなんでそんなに冷静なの!?病気だってこんなの…」


私は幸と目を合わせた。


「俺は前から知っていたからだ。まあ、知ったのは少し前だが…」


「…なんで…。渚!どうして幸には言って私に言ってくれないの!?私のこと…」


結、ごめん。言わなかったわけじゃないの…言えなかったの。幸せに生きている結や望達を前にしたら言えなかったの…。


「ごめんね」


これしか言えない私は本当に馬鹿。


「ねぇ、今からでも遅くないよ?嘘なんでしょ?ねぇ…そうなんでしょ?」


私は何も答えなかった。でもその変わり、繋がれた手をただぎゅっと握った。


「じゃあ、教えて…私になんで…言ってくれなかったの…?」