想いを残した距離に

私と幸くんは手を繋ぎ、無言で人混みの中を歩いていた。


「ど、こに…行くの?」


「内緒。まあ、すぐわかる」


だんだん人気がなくなってきて見覚えのある山にたどり着いた。


「あの夕焼けの…」


「そう。今、雪降ってるからな。イルミネーションが綺麗に見えるはずさ」


真っ暗‥なにか出そう…怖いな…。


「ほら、着いた」


ああ、懐かしい…。


目の前に広がる真っ白な景色でそう思った。イルミネーションが真ん中で光り輝いていて人がいっぱいいる。雲から少したまけ顔を出す月も可愛らしい。


「一緒にいたい人とここに来る」


「それってあの時の…」


「俺は今もこれからもずっと先も渚のことが好きだ。渚には私が死ぬまででいいから愛してって言われていいよって言ったけどそれは無理だ。俺はもう渚以外愛したくない。愛せない。渚は自分が死んでから俺がひとりになると思ってそう言ったのかもしれないけど俺は渚が…」


幸が何かを言おうとした時、私は自分の唇でそれを止めた。


「な、ぎさ…?」


「ずるいよ…そんなこと言われたら…もう死ねないじゃん…幸のこと…忘れたくないじゃん…」


「じゃあ、忘れんなよ。約束だ」


「うん。絶対に忘れないから…」


幸と私はは指切りの変わりにキスで約束を交わした。


もうこの温もりを絶対に手放したくない。
病気なんかに壊されたくなんかない。