想いを残した距離に

「東道くん…?」


「あんたはこっちの方?」


東道は私の帰り道を指差した。
私は時間をかけて頷いた。


「じゃ、行くか」


「う、うん」


私が返事をした瞬間だった。


「あ、雨?」


空に向かって左手を開くと小さな水滴がポツリと降ってきた。


「須藤!雨降ってきたから走るぞ!」


彼は突然そう言い、それに驚いている私の左手を握って走り始めた。
私は足の速い東道くんに一生懸命ついて行った。走っているとだんだん雨は強くなっていって制服がびしょびしょになる。


「と、東道くん?」


雨がひどくなって目を開くのがきつくなってきた。それでも私は彼の手をしっかりと握ってさっき出来上がったばっかであろう水たまりを踏みながら走った。


「あの公園に行くぞ!」


東道は私を公園にある屋根付きベンチに連れて行った。


私はカバンからタオルを取り出して髪の毛を拭いた。びしょびしょの髪の毛からは大量の水がタオルへと吸いとられる。
濡れた服が私の体に密着してなんだか
気持ち悪い。