想いを残した距離に

「夏休み中は幸くんが私の家に来たよね。びっくりしたけど楽しかった」


「そうだったな。渚の手料理も美味しかったしあの夕焼けも見れた」


「あの夕焼け…また見たいね」


「雪が降ったらまた見よう。雪が輝くともっと綺麗なんだ」


今でもまだ覚えてる。オレンジ色の夕焼けがたくさんの家の屋根に掛かって眩しかったこと…鳥も空を飛んでいて写真で見たような景色だった。


「夏休み終わってすぐに渚はいじめられて病院に行ったよな」


「うん。でもいじめられて病院に行ったおかげて幸くんと付きあえたって言っても過言じゃないよ」


いじめられた時は辛かったけどその時はみんなにも同じ目にあって欲しくなくて必死だったなぁ…。


「あのあと、結も望も付き合い始めたよね…奇跡かと思ったよ」


「あれは俺もびっくりした。すごいなって思ったよ」


「退院するときにさ…脳に異常があるって言われたんだよね…あの時は人生の終わりかと思った…」


真っ暗闇の中にひとりでいる…そんな気がしてた。


「でも私の誕生日をみんなに祝ってもらって病気のことも忘れられたの」


「指輪を渡すときはすごく緊張した。受け取ってもらえないんじゃないかって思って」


「受けるに決まってるじゃん。私の彼氏は…幸くん…なんだからさ」


あの指輪は私のお守り。心が折れそうなときに助けてもらってるの。