想いを残した距離に

「本当は…幸くん達にお話があってお母さんと一緒に来ました」


お母さんは病気のことだと察してくれたようで真剣な表情を浮かべた。


「なに?なんかあった?」


「…実はね。どうしても伝えたいことがあるの。後悔しないうちに…」


私は幸くんと幸くんのお父さんに病気のことと寿命のことを全部話した。ふたりともどんどん顔が青ざめていくけど真剣に聞いてくれている。


「それ…冗談とかじゃねぇんだよな…?」


「うん。ごめんなさい…」


「いや、渚ちゃんが悪いわけではないよ。な?幸」


「もちろん」


幸くんは落ち着かない様子で汗をかいている。幸くんのお父さんもまた落ち着かないようで唇を噛んでいる。


「それで…私が死ぬ前に…幸くんには…」


「別れるなんて言わねぇからな。たとえ、渚が別れてって言っても別れるつもりはない」


私が言おうとしたことが全部わかっちゃったみたいだ。


「でも、私が死んじゃったら…」


「そんなの知らねぇよ。俺は渚が好きなんだから」


私は右手についた指輪にそっと触って少し笑みを浮かべる。


「ごめんね。ありがとう」