想いを残した距離に

「それだけじゃないわ…渚のこれから先の人生を見られないことや渚に何もしてあげられないこと…お母さんよりも先に死んじゃうこと全部全部怖いの…よ」


そんなのは当たり前だと思う。
ここまで育てた娘がもうすぐ死んでしまうって聞いて怖くない親なんて馬鹿以外はいない。


「私も怖い。お母さんに親孝行させてあげられないんだもん…せっかくお母さんと一緒にいられるのに死んじゃうんだもん…。でもね、私はほんのちょっとの時間でもお母さんに親孝行させてあげたいんだ。生きているうちに自分の全部を注いで…」


「ふふ…渚はもう大人ね…お母さん馬鹿みたいね。渚のほうが怖いのに親の私がウジウジしてるなんてね。それじゃあ駄目よね!」


お母さんは泣きながらも笑った。


「ねぇ、お母さん…わがまま言ってもいいかな?」


「もちろんよ」


「私ね…お母さんに会ってほしい人たちがいるの」


「会ってほしい人?」


「うん。ちゃんと予定を立てるから…その人と…会ってくれないかな…?」


私は下を向きながらそう言うとお母さんは私の頭を撫でてくれた。


「娘の頼みを断るわけないでしょ。ほら、もう遅いんだから寝なさい」


もう12時を回っている。
本当に長い時間話をした。


「うん。おやすみなさい」