想いを残した距離に

「渚っ!」


「もしかして…お母さん…?」


そう。その人は私のお母さんだったのだ。
最後にあった時よりも痩せ細くなっていて印象も違うから別人かと思った。


「渚!大丈夫なの!?なわけ無いわよね。私ったら娘が大変なときに仕事仕事って…」


「お、お母さん…お、落ち着いてよ。人見てるし…家に入ろ?」


私はお母さんを連れて家の中に入っていった。


「変わらないわね。家も…」


「うん。お母さんが外国に行ってからは何も変えてないよ」


家具の配置もお母さんの小物も何一つ動かしてなんかない。


「そうなの…話を聞いてもいいかしら?」


「うん」


私とお母さんは向かい合わせになって座った。


「病気の方はどうなの?」


「最近行った時には1年持つかどうかわからないって言われた」


「延命治療は?やらないの?」


「一生寝たきり状態なんて嫌だ…私は今生きてる時間を大事にしたい」


「そう。大変なときに側にいてあげられなくて…ごめんなさい…」


お母さんは帽子とサングラスを取って小さくお辞儀をする。