こんなに現実を叩きつけなくてもいいじゃない…


「い、1年ですか!?」


「え、ええ…ただし、これからは延命治療を受けていただいてそれで寿命が伸びるかはあなた次第でして…」


「延命治療…ですか…?」


「ええ、寝たきり状態での治療になります。ただ、延命治療をしても効果があるかわかりません。受けないという方法もあります」


延命治療って言っても私は近いうちに死んでしまうんでしょ?少し長くなるだけで死んでしまうのでしょ?しかも私は死ぬまで病院に行かなきゃいけないのでしょ?
だったら…。


「私、延命治療は受けません」


『渚』


嫌だよ…幸くん…結婚するっていう約束…
叶えられないよ…。


「わかりました。これからも薬を出します。力不足で申し訳ありませんでした」


先生の困った顔が歪んで見える。それはきっと私が泣いているからだと思う。顔がグシャグシャになるくらい泣いているからだと思う。