想いを残した距離に

「辛かったな…無理矢理言わせてごめん」


「いいの。幸くんのほうが辛いんだから…」


胸が痛い…少し頭も痛い…


「渚…好きだ。渚に会えてよかった」


幸くんはぎゅっと私を抱きしめた。
私は自分の体の異常さを無視しながら少し力を入れて幸くんの背中に手を回した。


「幸くん…ありがとう…」


私達はその後、必要最低限の言葉だけを交わし、家に帰った。
そしてその次の日
私は放射線治療を受けた。


「げほっ!げほ…っ!」


放射線治療を受けて数日後。私の身体にはいろんな異常が起きてきた。


頭痛、嘔吐、特にめまいが凄い…。


「ねーちゃん…大丈夫?」


海にはひと通りのことは話した。まあ、こんな姿をみてればすぐに異変に気づいちゃうよね…。


「だい、じょうぶ…げほ…っ…」


気持ち悪い…今日は学校休んで…早く病院行って…それで…放射線治療しなきゃ…


「今日学校休む?」


「う、うん…ごめんね…あ、お弁当作らなきゃ…」


私はふらふらしながらキッチンに向かった。


「いや、いいって…コンビニで買うから」


「駄目だよ…栄養あるもの食べなきゃ!海は部活頑張んなきゃなんだから」


私はいつものように海のお弁当を作った。
そして海は少し引きずった顔をして家を出て行った。