どんなに泣いても、どんなに苦しんでも、決して手を差し出してくれはしない。


助けてくれ、許してくれと何度も願った私達を見て、嘲笑っている。

あんなに残酷なのに、それでも美しいお月様。





ーーー脳裏に、一瞬よぎったあの人。



顔を苦痛に歪ませながらも、私を安心させるように笑ったあの人。


いつもと全く違う酷い笑顔を見て、泣きそうになって、

でも、それを必死に堪えて、私も酷い笑顔を無理やり作った。


「っ」

ふと、右目に鈍い痛みを感じた。あの人を思い出すことを拒否するように。