彼女にとってその世界は残酷すぎたから。 彼女はつぶやいた。 この世界には、神様どころか 偽善者さえもいない。 この世界にいるのは、 人という皮をかぶった悪魔だけだ、と。 彼にとってその世界は自分の無力を 恨むものだったから。 彼はつぶやいた。 どうして、彼女を守れないのだろう。 なんで、僕はこんなに無力なんだろう。 ーーー彼女を苦しめるこんな世界なんて、 消えてなくなってしまえばいい、と。