中学三年の秋。

 好きだった男の子がいた。

「お、おはよっ」

「ん、はよ」

 ちょっとそっけない感じはしたけど、

どんどん好きになっていったんだ。

 でも遠巻きに見ているだけで、何にも言

えなかった。

 すっごくカッコよくて、頭良くて、ス

ポーツできて。私なんかと全く違う。

 
 あの日。卒業式の日。

「あ・・あのっ」

 声を掛けたところまでは良かった。

「何?」

 長かった校長の話を聞いた後で、げんなり

してたから、声色が少し怖かった。