「先生、今日はどこへ?」 窓の外はすでに夕闇の中。ナビゲーションが伝える土地の名は、東京育ちの私には馴染みのないものばかりだ。 「今日僕は、サンタクロースになるんです」 「……はい?」 驚いてつい大きな声を出してしまった私に、日向はクスリと微笑んだ。 「次で降りますね」 日向に導かれ着いた先は、遠い北の港町だった。 「……雪?」 長いトンネルを抜け、音の消えた街を行く。道路の両側は、真っ白な雪の壁に囲まれていた。