「あ、カナミもよければ」


取ってつけたようにそう言うユキにあたしは苛立ちを覚えた。


今のは絶対にわざとだ。


カナミは少し顔を伏せてあたしの手を握ってきた。


「カナミも一緒なら行ってもいいよ」


あたしはそう返事をした。


遠まわしにユキと2人では嫌だと伝えたつもりだ。


「じゃ行こうか、4人で」


「4人?」


あたしはユキの言葉に聞き返した。


「うん。勉(ベン)も一緒だから」


そう言うと、ユキはクラスメートであり、ユキの彼氏である仲本勉(ナカモト ベン)を手招きした。


「それなら彼氏と2人で行けばいいじゃん」


「せっかくなんだからみんなで行きたいじゃん」


そう言ってほほ笑むユキ。


わけがわからなくてあたしがカナミを見た。


カナミも首を傾げている。


ユキと勉は仲が良くていつも一緒に行動している。


その中に入って行くのはお邪魔じゃないかと、みんな少し気を使っているのだ。


「ね、今日は勉のおごりだから!」


ユキに強引にそう言われ、あたしとカナミは渋々頷いたのだった。