「私は気になるだけ。
思ったことを言っただけ。
……ねぇ、彼女が原因で
人を信じられなくなったみたいだけど
私をその彼女と重ねるのやめてくれない?
私はその女とは違うよ。」
私はまっすぐ爽を見て言った。
爽は何も言わずにパソコンへ視線を戻した。
そしてしばらくすると爽が言った。
「あのさ……由茉って何者?」
「……は?」
「今由茉のこと調べてるんだけどさ、
なんにも出てこないんだよね。情報が。」
……ハッキングですか?
「何者って…普通の一般人だけど。
ずっと闘病生活で友達もいなかったし、
アメリカにいたから出てこないんじゃないの?」
「それにしても出てこなさすぎる。
闘病生活していた、アメリカにいた
という事実さえも出てこない。
心臓移植するために多額の資金が必要なら
募金活動していてもおかしくないのに、
それすらも出てこない。
……ねぇ、なにを隠している?
誰に隠されている?」