私がぽかーんとしていると

湊が説明してくれた。


「ごめん、由茉。俺ら知ってたんだ。

小林が噂流してたことも

今日やろうとしてたことも。


でも突き落とすタイミングがなくて。

だから利用したんだ。

由茉には辛い思いさせたな。

あの腕時計は俺の。

昔のやつでもう使ってなかったやつ。

MDは似たようなのを買って置いたんだ。

どっちもダミー。

本物はちゃんとあるから。

写真も。あれは美波の母さんに頼んで

急いでプリントしてもらったやつ。

由茉がずっと持ってたのはこっち。」


湊はそういって私に腕時計とMDと写真を渡した。


よかった…本当によかった……。


私は涙が溢れてきた。


「よかった…。」


心からほっとした。


「ごめんな、俺ら最初から聞いてたんだ。」


「みんな…ありがと…

気づいてくれて…守ってくれて…」


私は泣きながらお礼を言った。


「当たり前だろ。

由茉は姫で仲間で、友達なんだから。」


そういって哉斗は私を抱き締めた。