俺は静かに由茉の話を最後まで聞いた。
信じられないという思いもあったが、
話ながら泣いている由茉の姿を見ると、
これは嘘ではなく本当なんだろうと思えた。
「橘くん、その手紙は美波からです。
読んでください。」
これ…か。
『湊へ。
湊、いきなりいなくなってごめんなさい。
そして、こんな形でしか伝えられなくてごめんね。
何回も伝えようとしたんだけど…
どうしても言えなかった。
湊のことが好きだから。
湊の悲しむ顔をみたくなかった。
湊がこの手紙を読んでいる今、
私はもう死んでいます。
ごめんね。でも現実です。
これを渡してくれた由茉は私の最後の友達です。
由茉は私よりも何倍も何倍も病気と闘ってきたの。
由茉は死を覚悟していたのかもしれない。
闘っていたけれど…最初に会ったとき、
由茉の目は死んでいた。
未来に希望なんかない。そう伝わってきた。
私はそんな由茉にたくさん話しかけた。
湊のこと、爽たちのこともたくさん話したよ。
私が話しかけているうちに、
由茉もたくさんのことを話してくれた。
由茉は笑うようになった。
私が弱気になっているときも、
一緒に治していつか一緒に遊びに行こうと誘ってくれた。
今、こうやって手紙を書いているのも由茉のおかげなの。
由茉がいなかったら私はずっと
湊に真実を伝えられなかった。
由茉ね、笑った顔がとっても可愛いの。
私からのお願い。
由茉の笑顔を守って?
由茉の瞳から光を失わないで?
そして、由茉の友達になって。
由茉は生まれつき心臓が悪くて、
ずっと友達を作ってこなかったんだって。
作っても、由茉が死んだらみんなが悲しむかもしれない。そう思うと作れなかったんだって。
闘病仲間はみんな先に死んでしまう…
(私もそうだけどね。)
由茉は本当に優しいから。
どうか由茉に友達になってあげてください。
爽も、哉斗も、純も、颯も。
みんな優しいから大丈夫だよね?
私、由茉の弱いとこ見れて嬉しかった。
友達って認められてるんだって。
由茉にも同じ思いをしてほしい。
私のことで泣いているかもしれない。
そんなときはたくさん泣かせてあげて。
そしてその分たくさん笑わせてあげて。
みんなならできるって信じてるから。
最後に、湊。
本当に大好き。今も会いたい。会いたいよ。
先にいってしまうことを許してね。
湊はこれからいっぱい幸せになってね。
いっぱい笑って、好きな人作って…
いつかその人と一緒に墓参りしてね?笑
湊だいすき。最初で最後の人です。
由茉のこと、お願いね。
美波。』
「……美波……」
読み終えると、俺は美波の名前を呟いていた。
「あと、これもです。」
なんだこれ…写真?
「私はこれも見ていません。
私の用事はこれで終わりです。
……お墓参りいってあげてください。
私はもう近づきません。
勝手言ってすみませんでした。」
由茉はそういって涙を目にためて
部屋から出ていこうとした。
「悪かったな……」
俺は無意識にそう呟いていた。


