ーーピロン♪





「…メールだ。優?」




スマホの画面を見て、私は首を傾げた。




今の時刻は、7時47分。




確か、優は7時くらいに心ちゃんの家に迎えに行くって言ってた。




心ちゃんのお気に入りのカフェは、多分駅前にあるカフェで、そこまで歩いて20分くらい。




単純に計算して、まだ25分くらいしか経ってないじゃん。



心ちゃんといるときはメールしてもスルーしてくるぐらいなのに、なんで?



なんかあったとか?




私は頭の上にいっぱいハテナマークを浮かべながらメールを開いた。




**************
To.華美
件名:なし

急で悪ぃ

今から会える?

**************




「え?」




今から会える…って、




心ちゃんは?




私は首をさらに傾げながら返事を打つ。




**************
To.優
件名:Re どうしたの?

いいけど…


なんかあった?

**************




ーピロン♪



**************

今から華美の家の前に行く

**************





質問、完全に無視されたんですけど。



まぁ、いいや。



私は近くにあった薄い水色のカーディガンを羽織って外に出た。



家の前でうろうろしてみる。



思った以上に寒かった。



そういえば、今、12月だった…。



もっと厚手のパーカーとか羽織ってくればよかったよ…。



震えながら足踏みをしていると、優が歩いてくるのが見えた。



一人で来てるってことは、もう心ちゃんを送ったあとってことかな。




「…華美。寒いのに、悪ぃな」





優が私を見上げて苦笑いした。




「ううん。ちょっと寒いけど、大丈夫!」




私が笑顔で返すと、優は寂しそうに笑った。




「そうか…」




本当に、どうしたんだろう。




やけにしんみりとした雰囲気を醸し出している優。




よっぽど、大変なことがあったのかなぁ。



私は、そう思いながら、かすかに頷いた。



「うん……」




「………」




かれこれ、数分が経過した。



相変わらず、優は何も話さず、俯いたまま。




私もじっと優が何か言ってくれるのを待ってた。




いつまで経っても優が何も言わないから、私はじれったくなってきた。




最初に沈黙を破ったのは、私だった。




「今日…寒いね。私ってば、薄着で出て来ちゃった」