夏休みが終わる頃、瑠璃はようやく解放された。
しかし、東絛家の瑠璃への風当たりは強かった。


「ねぇ、聞いた?
あの人殺し、釈放されたらしいわよ?」
「あらやだこわーい!」
「今度はお前が狙われるんじゃねぇか?」
「ばかっやめろっての!」



それでも虐められなかったのは
瑠璃が本家を牛耳る‘東絛百合’の孫だからだろう。

60歳とも80歳とも言われる瑠璃の祖母の正確な年齢は
皆よく知らない。
年のわりには若々しく凛とし、
それでいてたくましかった。


「瑠璃さんお話があります。」