愛しのモンティー


「イタッ、痛いじゃねーかアラサーが泣き顔晒してんじゃねー」

「ヒック……ズズ……だ、だって……ヒック」

恨めしそうに私の顔を睨みつける男に恐れをなし

泣くのを止めたいのに一旦流れ出した涙も鼻水もなかなか止まってはくれない。

窺うようにして男の顔を良く見れば……

外国の血が流れているのか?

怖いくらいに整った顔立ちはグレーの瞳が印象的。

30年近く生きてきて……

こんな綺麗な顔をした人を間近で目にするのは初めてで、思わず”ボボッ”と顔が赤らむ。

言うなれば雑誌やテレビの中でしかお目に掛かれないハイレベルなイケメンってところ

でも傲慢で尊大な態度は如何なものかと……

「さっきからモンティー、モンティーうるせーなー

今までだって呼ばれて“ニャー“って返事したことあったか?」

不貞腐れ、ぶつけた頭にイテテと手を当てながらブツクサ文句を言う謎のイケメン。

確かにモンティーは……

「モンティー。モンティーってば」

私が何度呼んでも返事をしてくれた試がない。

でもちゃんと自分の名前は分かっているみたいだから別に困った事もないけどね

「……って何でそんなこと知ってるのよ?」

「チッ……でけー声で騒ぐなよ、俺の耳がヤラレル」

何故に私が舌打ちをされた上に『でけー声で騒ぐな』などと

注意されなければならないのでしょうか?