「あの……もし今回ダメなら次回でも構いませんので……
突然変更をお願いしてすみません」
申し訳なくて謝ったら……
「違うんです」と星野さんに苦笑いされた。
「いつも山口さんの毛先を整えながら『ショート似合うのになぁー』って思ってて
でも『ショートにしませんか?』とは言い出せなくて……
だから誰の助言でショートにしてみようと思ったのか気になったというか……」
顔を赤らめて最後の言葉が尻すぼみになる星野さん。
夢の中では聞かれたくなかった此処に来る事になった経緯を大まかに掻い摘んで星野さんに話をした。
「それで彼に髪を切るように言われました」
「えっ?……彼?」
驚く星野さんにスマホを操作してモンティーの写真を見せた。
「彼がモンティーです」
「えっ?……猫?」
驚く星野さんに例の酔って起こった現象【ケース3】愛猫の擬人化の話をした。
怪訝な顔をされるのも覚悟の上だったけど星野さんは楽しそうに私の話を聞いてくれて、時折声を出して爆笑している。
「山口さんがこんなに楽しい方だとは知りませんでした」そうは言っても馬鹿にしたりはしなかった。
ボディーパーマをかけて動きが出た分、ヘアスタイルは夢の中より軽い仕上がりになっている。