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翌日の日曜、私は朝一でいつものヘアサロンへと向かった。
「カットをお願いします」
「毛先カット3cmくらいですか?」
「いえ。バッサリ、ベリーショートにしてください」
「な、なにかありました?」
星野さんのセリフは夢の中と同じでデジャブじゃないかと錯覚しそうになる。
「いえ。特になにも……」
星野さんはクスッと笑う私を不思議そうに見つめてから
「それじゃーホントにバッサリ行きますよ」
髪ブラも出来そうな胸を覆う長さまで伸びた髪の毛を一旦顎のラインまでパツンと切った。
それは夢の中で起こった事と同じ……
『ふーん。ボブも案外似合うかも……ってこれも夢の中での感想と同じだなー
暫くボブカットを楽しんでからショートにしても良かったかも」
そんなふうに思っていたら更にハサミはバサバサと髪の毛を切り落としていく。
「あっ……」
私の言葉に星野さんのハサミが止まる。
「あの……今からでもボディーパーマーってかけて貰えますか?」
「もちろん……大丈夫ですよ」
大丈夫だと言ったのに星野さんのハサミは止まったままだ。